"ご依頼"の意味/使い方。メール&文書で使える例文集【ビジネス敬語ガイド】
「ご依頼」の意味とは?
ご依頼とは、他人に頼み事をする」、「用件を頼むこと」などを意味していた敬語表現です。
「依頼」という言葉の「依」には、「よりかかる」「頼みにする」と言った意味があり、「頼」という漢字には、「頼る」「あてにする」といった意味があります。
「ご依頼」は丁寧な表現なので、上司や取引先の人など目上の人に対しても使用できる言葉です。ちなみに、「ご依頼」は謙譲語でも尊敬語でもありません。
「ご依頼」を使う時は、後に続く動詞で敬意を表す!
「ご依頼」は丁寧な表現方法なので、上司や取引先の人などにも使用できますが、この言葉自体は敬語ではありません。
そのため、目上の人に対するメールやビジネス文書などでは、「ご依頼申し上げます」や「ご依頼いたします」という風に、「ご依頼」に続く動詞を尊敬語にすることで、より丁寧な言葉になり敬意を表すことができます。
「ご依頼」だけでは、謙譲語にも尊敬語にも当てはまらないので、前後の言葉次第で表現を変えるのがベストでしょう。
「ご依頼させていただく」は、間違い。
「ご依頼」は丁寧語ですが、自分の依頼に対しても使用することができます。
例を挙げると「ご依頼いたします」は、相手に対して依頼をする行為なので誤りではありません。しかし、「ご依頼させていただく」は、自分自身を立てる意味合いになるため、間違った敬語になります。
間違った使い方をすると、上司や取引先など目上の人に失礼だと思われる可能性もあるため注意が必要です。
「ご依頼」を使った丁寧な例文一覧
「ご依頼」を使った定番のフレーズは、大きく分けて以下の4つ。
- ご依頼申し上げます
- ご依頼いただいた
- ご依頼のありました
- ご依頼の件につきまして
どの表現もビジネスメールなどで使われるため、この機会に使い方・例文などを確認していきましょう。
ご依頼の使い方①「ご依頼申し上げます」
「ご依頼申し上げます」は、丁寧な表現である「ご依頼」と謙譲語の「申し上げます。」を組み合わせた敬語なので、上司や取引先の人など目上の人に対しても使用できます。
「申し上げる」の「上げる」は、「申す」を補助する動詞で、「ます」は日常会話などでもよく使われる丁寧語です。
つまり、「申し上げます」には、「言わせていただきます」という意味があり、「申す」は「言う」の謙譲語で、自分の行為をへりくだって話す時に使用します。
「ご依頼申し上げます」の例文
- 先日、ご依頼申し上げたプロジェクトについてですが、仕上がりはいつになりますか?
- 下記〇〇の通り、ご依頼申し上げます。お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
- ぜひとも~していただきたくご依頼申し上げます。
「ご依頼申し上げます」は、上司やお客さんなど目上の人に見積を依頼する場合や依頼を頼むときなどに使用できます。
忙しい人に対して依頼する際は、「お忙しいところ恐縮ではございますが」という文章を付けるとより丁寧な表現になります。
また、例文にもあるように「ご依頼申し上げた〇〇についてですが~」という言葉を使って、締め切りや完了日などを確認することもできます。
【「例文」で使われている敬語】
・「恐縮ですが」の意味/使い方|例文付きで分かりやすく解説します
・「よろしくお願いいたします」よりも丁寧な言い換え敬語まで詳しく解説!
ご依頼の使い方②「ご依頼いただいた」
「ご依頼いただいた」は、ビジネスシーンでよく使われている敬語です。
この言葉がよく使用されるのは、何かの仕事をお願いする、もしくは仕事をお願いされるときです。頼まれていた仕事が完了したときや頼まれていた資料やデータなどを送信したときなどに使用できます。
「ご依頼」という言葉は、依頼されたのが過去であっても未来であっても、時期は関係なく使用することができますが、「いただいた~」は過去のことに対してのみ使用します。
「ご依頼いただいた」の例文
- 先日ご依頼をいただきました資料を、添付ファイルにてお送りします。
- ご依頼いただいたデータを添付ファイルにて送付いたします。
- ご依頼いただきました通り、お客様の〇〇のメンバーシップを中止いたしました。
「ご依頼いただいた」は、メールで何かを資料やデータなど送ったことを知らせるとき、例文のように「ご依頼いただいたデータを送付いたします。」という使い方ができます。
「ご依頼いただいた」は、ビジネスだけではなく日常生活でもよく目にします。例えば、通販サイトの会員登録を解除した際などには「ご依頼いただきました通り、〇〇を解除しました」というメールが届きます。
ご依頼の使い方③「ご依頼のありました」
「ご依頼のありました~」は、過去のことを言い表します。
メールや電話などで何かを頼まれていたことに対して、その後の報告を行う際に使用します。例えば、電話で無料カタログを送付するよう頼まれていた場合、カタログの送付が完了したとき、「ご依頼のありましたカタログをお送りいたしました。」という使い方ができます。
「〇〇のありました~」は、丁寧な表現になるので、上司や取引先の人など目上の人に対しても使用できます。
「ご依頼のありました」の例文
- 先日お電話にてご依頼のありました〇〇社のカタログは、さっそく別送いたしました。
- ご依頼のありました書類お送りいたしましたので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
- ご依頼のありました無料サンプルを同封しております。
「ご依頼のありました」は、頼まれていた書類や無料サンプル、カタログなどの郵送・送付が完了したときなどに使えます。
依頼されていた仕事を完了したことを知らせるときや相手に確認してもらいたいときなど、多くのシチュエーションで応用できます。
ご依頼の使い方④「ご依頼の件につきまして」
「ご依頼の件につきまして」は、文書やメールなど、ビジネスシーンでよく使われている敬語です。
誰かから頼まれていた仕事について話すときや仕事を依頼されたときなど、「ご依頼の件につきまして、承りました」という使い方ができます。また、文章の中だけではなく、メールの件名やビジネス文書のタイトルや依頼された仕事を断るときの言葉としてもよく使われています。
この言葉は、丁寧な表現なので、上司や取引先の人など目上の人に対しても使用できますよ。
「ご依頼の件につきまして」の例文
- ご依頼の件につきましては、ご期待に添うことができず、誠に申し訳ございません。
- 〇〇のご依頼の件につきまして(依頼メールの件名として使用)
- ご依頼の件につきまして、承りました。どこまで期待に応えられるか分かりませんが、できるかぎり精一杯がんばりたいと思います。
「ご依頼の件につきまして」は、仕事の依頼を受けるときや誰かに仕事を依頼するときだけではなく、例文の通り、ビジネス文書やメールのタイトル、依頼された仕事を断るときの文章としても使用できたりと、さまざまな使い方ができますよ。
ビジネスシーンで多く使われている言葉なので、ぜひ例文を見ながら使い方を練習してみてください。
【「例文」で使われている敬語】
・「申し訳ございません」の使い方|目上に失礼にならない丁寧な謝罪表現とは?
「ご依頼」と言い換えできる類語一覧
ご依頼の類語① お願い
この2つの言葉は、意味も使い方もよく似ているので、どちらの言葉にも言い換えることができ、「ご依頼」と同じく尊敬語としても謙譲語としても使用できます。
「お願い」は、「ご依頼」と同様に目上の人に対しても使用することができ、意味が似ているので同じシチュエーションでも使用できます。
「ご依頼」を「お願い」に言い換えても自然になることが多いですが、「お願い」は「ご依頼」よりもカジュアルなイメージがあるため、目上の人には「ご依頼」の方が相応しいでしょう。
「お願い」の例文
- 見積もり作成のお願い(依頼メールの件名として)
- 今回のプロジェクトは、ぜひ〇〇様に、お願いしたいと思います。ご多忙のところ恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
- 至急、〇〇の発注をお願い申し上げます。
ご依頼の類語② ご要望
「ご要望」は「ご依頼」の類語で、「ご依頼」と同じように使い方次第で尊敬語にも謙譲語にもなります。
「要望」という言葉は、「物事の実現を強く望むこと」「何かをしてほしいと強く求めること」などを意味します。この言葉に接頭語の「ご」を付けることで、より丁寧な表現になります。
「ご依頼」は目上の人に対して仕事や書類などを頼むときに使われますが、「ご要望」は「要求」や「催促」を意味するため、「ご依頼」の言い換えとして使用すると違和感が感じられる場合があります。
「ご要望」の例文
- 大変申し訳ございませんが、今回のご要望にはお応えすることができませんでした。何卒ご了承ください。
- お客様のご要望やご意見をお知らせください。
- ご要望がございましたら、近くの係員までお声がけください。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご了承ください」の使い方をタイミングから例文まで詳しく解説します
ご依頼の類語③ ご要求
「要求」とは、「当然なこととして相手に何かを強く求めること」や「必要とすること」などを意味します。
「要求」に丁寧語の「ご」をつけた「ご要求」は、目上の人にも使える表現です。「頼む」という意味がある「ご依頼」の類語である「ご要望」と意味がとても似ていて、同じような場面で使用できます。
ただし、「要望」は求める姿勢が弱く、結果もあまりあてにならないのに対し、「要求」は、求める姿勢が強く、結果も期待しているという違いがあります。
「ご要求」の例文
- 〇〇様のご要求に合わせて提案させていただきます。
- 無料カタログのご要求について(ビジネス文書やメールのタイトルとして使用する場合)
- 正当な利益を害するおそれがあるため、お客様のご要求にお答えすることはでません。
ご依頼の類語④ ご用命
「ご依頼」の類語に「ご用命」という言葉があります。
「用命」とは、「用事を言いつけること」や「注文」などを意味し、接頭語の「ご」を付けることで丁寧な言葉にも言い換えられます。
「ご用命」は、「何かありましたら、なんなりとご用命ください」や「ご用命は〇〇までお願いします」というふうに、相手から何か用事を命じられるときや注文されるときなどに使われています。
自分が相手に用事を頼んだり注文する際には使用しないので注意しましょう。
「ご用命」の例文
- 商品の返却、交換、キャンセルなどに関するご用命は〇〇までお申し付けください。
- 〇〇のご用命は、 フリーダイヤル0120-〇〇-〇〇〇〇までお電話ください。
- 何かありましたら、なんなりとご用命ください。
【参考記事】「ご用命」の正しい使い方|例文まで解説します▽
ご依頼の類語⑤ ご要請
「要請」とは、「出動を要請してください」や「会長就任を要請します」というように、必要として強く願い求めることを意味します。
「ご要請」は「要請」よりも丁寧な表現で、後に続く言葉次第で尊敬語にも謙譲語にも使用できます。「ご依頼」と似た意味を持っていますが、「ご要請」は「ご依頼」よりも強くお願いするときに使えますよ。
例えば、勝手に画像を転載されたときには、「修正・削除を要請します」といった使い方ができます。
「ご要請」の例文
- 修正-削除のご要請は、〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇(電話番号)までご連絡いただければ対応させていただきます。
- 下記の担当へご要請くださいますようお願いいたします。
- 〇〇の件につきましては、弊部ではなく〇〇部の管轄となっております。お手数おかけしますが、〇〇へご要請いただけますと幸いです。
ご依頼の類語⑥ ご申請
「依頼」は、仕事を頼んだり、書類の送付を頼むときなどに使用されているのに対し、「申請」は、自分の希望を申し立てて一定の許可を求めることを意味しています。
この言葉は、「ビザを申請する」というように、特に国や公共団体などの機関に対して許可や認可を求めるときに使用されます。
「申請」をより丁寧にした「ご申請」は、「ご申請後に年会費の郵便振替用紙を郵送します」など、一般の会社の会員登録や申し込みの際にも使用されています。
「ご申請」の例文
- ご申請の手続き方法が一部変更となっておりますので、ご確認ください。
- ご申請の日時が〇〇月〇〇日を過ぎている場合、事後登録を承ることができません。
- ご申請後に、年会費の郵便振替用紙を郵送します。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご確認ください」は目上には失礼?より丁寧な言い換え敬語も解説
「ご依頼」の英語表現
- I will send you the request documents.(ご依頼の資料を送付します。)
- I am terribly sorry that I cannot comply with your request.(ご依頼に添えず申し訳ありません。)
- I am sending you the product image that you requested.(ご依頼頂いていた、製品の画像をお送りします。)
- I am sending you the reference that you requested. Please take a look.(ご依頼いただきました資料を送付いたしますので、ご査収くださいませ。)
- I will enclose the requested sample.(ご依頼のあったサンプルを同封します。)
- I will send the data that was requested.(ご依頼のありましたデータをお送りします。)
「ご依頼」は、ビジネス英語でもよく使われている言葉です。
「ご依頼」を英語で表すとなるとシチュエーションによって使う単語が異なりますが、多くの場合は「Request」という単語に言い換えられます。
例えば、「ご依頼の資料を送付します」を英語にすると、「I'll send you the request documents」となります。
「ご依頼」の使い方・例文をこの機会にマスターしよう!
「ご依頼」は、誰かに仕事を頼むときや頼まれるときなど、ビジネスシーンで多く使われている言葉です。
日常会話でもよく目にする言葉ですが、似たような意味を持つ類語が多いので、つい使い方を間違ってしまいがちですが、「ご依頼」の正しい意味と使い方を覚えると、目上の人に対して敬意を示しながら仕事を依頼することができます。
また、類語も一緒に覚えることで、シチュエーションに合わせたさまざまな敬語の言い回しができるようになります。
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