"精進します"の意味/使い方とは?類語&丁寧な例文集【ビジネス敬語ガイド】

長谷川大輔 2024.05.09
頑張ります、努力しますという意味を持つ表現、精進します。幅広いシーンで使われますが、正しい例文を知っている人は少ないでしょう。そこで今回は、精進しますの意味から正しい使い方、目上に使える例文、言い換えできる類語まで解説。この機会に敬語の質を上げていきましょう!

「精進します」の意味とは?

「精進します」とは、努力します、頑張りますという意味を持つ敬語表現です。

「精進」は「しょうじん」と読み、もともと仏教用語のひとつでした。仏道に励むこと、努力することがもともとの意味です。仏道に励むときに肉食を避けるため、精進料理、精進揚げは野菜を中心にした料理のことを表します。このように日常的にもよく使われる言葉です

「精進します」は、ビジネスシーンではよく使われるフォーマルな言い方です。「頑張ります」や「努力します」では少し幼稚な感じがするので、「精進します」と言うようにしましょう。挨拶や抱負を語る時などにとても重宝する言い方です。


「精進します」の正しい使い方

「精進します」はフォーマルな言い方ですから、目上の人へのメール、書状、会話などに適しています

ビジネスメールでは、お詫びやお礼を言いたいときに使われます。アドバイスをいただいたあとでお礼状にお礼とともに抱負を「精進します」を使いながら付け加えましょう

また、お詫びのあとに2度とこのようなことが起きないように「精進します」と締めくくります。抱負を語るにはとても有意義な言葉ですから、年賀状や履歴書のエントリーシート等に使える表現です。具体的な使い方は次の項目で例文を紹介しますからそちらを参考にしてください。


「精進します」を使った丁寧な例文

【ビジネスメール】精進しますの例文と使い方

お知らせくださいましてを使った丁寧な例文
  • 本日付で経理課課長に着任いたしました。未熟ではありますが、ご期待に沿えるよう精進します。
  • これからも、弊社が発展するために日々精進しますのでよろしくお願いいたします。
  • これからもお客様の声を大事にし、日々改善できるよう精進しますのでこれからもよろしくお願いいたします。
  • 先日は、私の至らないミスにより大変ご迷惑をおかけしました。今後2度とこのようなことが起きないよう、自らを戒め、精進します。
  • これからも一社会人として皆様のご期待に沿うように精進します。

ビジネスメールではお詫びをいう場合にも「精進します」はよく使われます。

「精進します」の使い方は、ミスをしてしまったことを詫びた後で、これからこのようなことがないように「精進します」と締めくくるのが一般的です

また、新任・赴任・退任の挨拶でこれからの目標などを掲げてそれに向かって頑張りますということを精進という言葉を使って伝えます。「精進します」は「頑張ります」や「努力します」よりも一心にやり遂げようとする印象を与える言葉です。ビジネスメールでは例文のような文章が頻繁に使われます。


【年賀状】精進しますの例文と使い方

精進しますを使った年賀状の文章
  • 旧年中は大変おせわになりました。本年はより精進しますのでよろしくお願い申し上げます。
  • 今年もご期待に沿うよう精進しますので、ご指導ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。
  • 本年も精進しますので変わらぬご指導をお願いいたします。
  • 今後も精進し、仕事に邁進いたしますのでよろしくお願いいたします。
  • 今年はさらに飛躍の年になるよう精進しますのでよろしくお願い申し上げます。

上司や取引相手への年賀状でも「精進します」はよく使われる言葉です。

今年の抱負を語るためにふさわしいことだけが年賀状によく使われる理由ではありません。「精」という文字が混じり気のないもの、純粋なものを意味するため、新年の挨拶にぴったりです

そして「進」という進んでいく、前進していくという文字をプラスしていくのでおめでたい感じになります。余談ですが、例文は便宜上句読点をつけて書いていますが、年賀状では句読点はつけないということがマナーです。年初めで「区切りをつけない」ために縁起を担いでます。


【履歴書】精進しますの例文と使い方

お知らせくださいますようを使った丁寧な例文
  • 御社の一員として一日も早く戦力になれるよう精進します。
  • 御社のために全力で精進しますのでよろしくお願い申し上げます。
  • 組織全体を牽引できるように精進します。
  • 今までの自分の経験を活かし、御社の事業に貢献していけるように精進します。
  • 前職で培ったスキルを活かして御社のお役に立てるよう精進します。

履歴書では意気込みや志望動機を「精進します」を使って表現します。履歴書では自己PRが必須ですが、あまりにも自信過剰な表現はNGです

「精進します」を使って「頑張ります」と言いながらさりげなくスキルや長所をアピールしましょう。

もともと仏教用語である「精進します」は「頑張ります」や「努力します」よりも私欲のない真剣に努力する人をイメージさせる言葉です。例文を参考にしてご自分をどんどんアピールしてください。


【お礼状】精進しますの例文と使い方

ご連絡差し上げる次第です
  • これまでありがとうございました。〇〇様に教えていただいたことを忘れず、これからも精進します。
  • 先日の研修では大変お世話になりました。新しい知識をもとに今後も精進します。
  • 〇〇様のアドバイスを糧としこれからも精進します。
  • 過分なるお褒めの言葉を頂戴し痛み入ります。これからも精進しますのでよろしくお願いいたします。
  • (入院中)お見舞いをいただきありがとうございました。今後は体調管理をきちんとして精進します。

上司やクライアントに時間を割いてもらって話を聞いてもらったとき、や就職活動や研修などでお世話になったときなどお礼状を送ることは社会人としてのマナーです

その時に、感謝の言葉だけではなく、抱負や決意、目標などを「精進します」という言葉を使って書き添えることで、感謝が口先だけではないことが表現できます。

目上の方のアドバイスや研修などが実際に役立っていることが伝わるからです。また、異動や退職などでお別れのときに今までのお礼とともに抱負を「精進します」と添えるととてもきちんとした印象を残します。


「精進」を使ったその他の敬語表現

精進を使った敬語① 精進いたします

「精進いたします」の「いたします」は「する」の謙譲語である「いたす」に丁寧語の「ます」がついた敬語表現です

相手に敬意を表した丁寧な言い方で、ビジネスメールでも頻繁に見かけます。上司をはじめとする目上の方にはもちろん、取引先の方にも使える表現です。

「いたします」を「致します」と漢字で書く場合がありますが、「精進いたします」はひらがなで書きます。理由は「精進いたします」の「いたします」は補助動詞だからです。「致します」と漢字で書く場合は、「至す」という意味の動詞として使われます。


精進を使った敬語② 精進して参ります

「精進して参ります」の「参ります」とは「いきます」の謙譲語です。

「いきます」という補助動詞をつけて、動作や状態が継続していくことを表します。そのため、「精進します」よりも未来に向かってずっと「精進する」ことが持続していく決心が伝わります

「いきます」を「参ります」に言い換えることで上司など目上の方に使える敬語表現になり、同僚や部下には使えません。「〜して参ります」は他の動詞とのコンビネーションでビジネスシーンでもよく使われる言葉です。


精進を使った敬語③ 精進していく所存です

「精進していく所存です」の「所存」のとは「思っていることがら、つもり」という意味です。

ですから「所存です」は「〜するつもりです、〜しようと思っています」と言い換えられます。漢文として読むと「存するところ」となり、「存する」は「思う」の謙譲語ですから「所存です」も同様にへりくだった言い方の敬語です

そのため、目上の人や社外の人へのメールや会話でも使えます。「精進します」より控え目な感じでありながら、強い意志を感じられる言い方です。


精進を使った敬語④ 精進を重ねて参ります

「精進を重ねて参ります」は「精進して参ります」や「精進していく所存です」などの類語で言い換えも可能です

「参ります」というへりくだった表現の敬語を使っているので目上の人にも使えます。「重ねて」と付け加えることで「コツコツと頑張る」イメージを強くしている表現です。そのため、かなり堅苦しい言い方なので、履歴書、年賀状や異動の挨拶などに使うと良いでしょう。


「精進します」と言い換えできる類語一覧

精進しますの類語① 頑張ります

「頑張ります」は「精進します」が使われている文章で言い換えが可能です。

「頑張ります」と「精進します」はほとんど同じ意味と思って差し支えありません。ただし、「精進します」よりも幼稚な印象をもたれる可能性があります。しかし、同時に若さのエネルギーを感じさせる言葉です

ビジネスメールなどにはお勧めできませんが、上司と話しているような場面で使うと清々しい印象を与えます。明るく爽やかに口にすることがポイントです。

「頑張ります」の使い方

  • 期待に沿えるように頑張ります。どうぞよろしくお願いします。
  • もっと新しい経験をして、さらにアイディアを出していけるように頑張ります。
  • まだまだ未熟ですが、プロジェクト成功のために全力で頑張ります。

精進しますの類語② 一生懸命

「一生懸命」はもともと「一所懸命」という言葉でした。中世の武士が自分の土地をしっかり守り通すことが語源です。

命をかけて守っていたため、所が生に入れ替わって使われ始めました。「精進します」の意味は「一生懸命努力します」ですから、「一生懸命」には「努力する」という部分が抜けています

そのため、「一生懸命です」だけでは、「精進します」の言い換えになりません。そのため「一生懸命」の使い方は「一生懸命に」と副詞として使い、「一生懸命」したいのかを具体的に付け加えます。

「一生懸命」の使い方

  • まだまだ知らないことも多く、未熟者ですが、日々一生懸命学ぶ所存でございます。
  • 一生懸命に働く所存ですのでよろしくお願い申し上げます。
  • 一生懸命頑張りたいと思いますので、皆様からのご指導をお願いいたします。

精進しますの類語③ 努力します

「努力します」は「精進します」に言い換えが可能です。ただし、意味は「精進します」よりやや弱めになってしまいます

「精進します」が「一生懸命努力します」という意味だからです。比較的親しい人へのメールや会話では使えます。

上司など目上の人に言うときは「誠心誠意」や「一生懸命」をプラスした方が良いでしょう。ビジネスメールなどで社外の取引先などに送る場合、特にお詫びを目的にしたメールなどには使わない方が無難です。

「努力します」の使い方

  • アドバイスをありがとうございました。これから誠心誠意努力しますのでよろしくお願いいたします。
  • これからも〇〇様のご期待に添えるよう一生懸命努力します。
  • 精一杯努力しますのでご指導ご鞭撻をいただけますようお願いいたします。

精進しますの類語④ 尽力します

─「尽力」は「じんりょく」と読み、力を尽くすと書いて「一生懸命努力する」という意味です。ただし、尽力は努力よりも外に対する働きかけが強く、他人のために何かをする場合に使います。

そのため、他の人に何かをしてもらったら「ご尽力ありがとうございます」とお礼を言いますが、「ご努力ありがとう」「お精進ありがとう」とは言いません。

使い方は「精進する」とほぼ同じで、言い換えも可能ですが、ニュアンスの違いを頭に置いて使いましょう。それでは例文で使い方を見ていきましょう。

「尽力します」の使い方

  • これから一層尽力し、サービスの向上を目指します。
  • 一刻も早く戦力になるべく尽力します。どうぞよろしくお願いします。
  • 旧年中は大変おせわになりました。今年はさらに尽力しますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

精進しますの類語⑤ 精を出す

「精を出す」は「精一杯力を尽くす」や「精一杯力を出す」といった言葉が縮小されたのではないかと言われています

「精」は「せい」と読み、「根気、励むこと、魂」といった意味です。つまり、「精を出す」は「一心に働く」というニュアンスで使われます。会話で主に使われ、ビジネスメールなどでは使われません。

「精が出ますね」と労う場合も、同僚や部下にのみ使う方が良いでしょう。自分に使うときは、「精を出して働く」など精を何に対して出すのかを具体的に言わないと尻切れとんぼな中途半端な印象になります。

「精を出す」の使い方

  • 大学時代はボランティア活動に精を出していました。これからは仕事を覚えることに精を出します。
  • 資料作りに精を出しています。きっと将来役に立つはずです。
  • 体を丈夫にするために、毎日、トレーニングに精を出しています。

「精進します」の英語表現

ご連絡差し上げるの英語表現
  • I would do my best.(最善を尽くします)
  • I will try my best. (最善を尽くすよう努力します)
  • I'll continue to concentrate on improving my Chinese.(中国語のレベルを上げるために引き続き努めます)
  • I keep studying, and work hard. (学び続け、一生懸命頑張ります)
  • I won't let you down.(あなたをがっかりさせません)
  • I'll make you be proud of me!(私を誇りに思っていただけるよう精進します。)

英語の場合は努力するというよりもこれから自分が、最善を尽くしますという決意を述べるだけで十分です。”do my best”または”try my best”というフレーズを覚えておきましょう。

”I won't let you down.”はがっかりさせない→期待に応えるという言い方です。とても英語らしい言い方です。


「精進します」の中国語表現

「精進します」の中国語表現
  • 我会前进(精進します)
  • 我一定竭尽全力(全力を尽くします)
  • 我从明天开始努力工作(明日から仕事を頑張ります)
  • 我为了你努力工作(あなたのために一生懸命頑張ります)
  • 我们可要加倍努力呀!(私たちはより一層努力しなくてはならない)
  • 我会为了学会全部的东西而全力以赴的(全ての学ぶために全力で頑張ります)

中国語では、仏教思想より儒教思想の方が根強いこともあり「精進」という言葉は使われません。「努力工作」という言葉で努力することを表します。中国語と日本語の決定的な違いは文章の構造です。中国語では、英語やフランス語と同様に常に主語で始まります。自分がする努力の場合は「我」、複数で「私たちは」と言いたいときは「我们」で文章が始まる点に注意しましょう。


「精進します」の正しい使い方をマスターして。

「精進します」の使い方や意味を紹介しました。使い方はわかっていてもなかなか敬語は上手に使いこなせないものです。何度も繰り返し使って自然と使えるようにしましょう。「精進します」と言うと一人前の社会人であると認められますよ。英語や中国語でも「精進します」の言い方を覚えて、ビジネスでしっかり自己アピールをしてくださいね。

【参考記事】「了解」の正しい使い方を分かりやすく解説

【参考記事】「真摯」の意味から使い方を解説します

【参考記事】「拝見」って目上の人にも使える敬語なの?

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