転職成功に導く!職務経歴書の自己PR欄の書き方やポイントを解説

長谷川大輔 2020.02.20
転職活動時、応募する企業に提出する文書として職務経歴書があります。この職務経歴書に自己PRが記載できますが、書き方にはコツやお作法があります。職務経歴書の自己PRを書くための手順を紹介しつつ、文章作成時における大切なことをまとめました。また転職エージェントについてもご紹介します。

そもそも自己PRとは何か?

職務経歴書の自己PR

自己PRとは就職活動時、応募先会社の人事担当者に「自分のことを分かってもらって内定を獲得する」ための重要な項目です。最強のプレゼンツールともいえます。応募する側は、しっかり自分をアピールできないと希望する会社に入れてもらえません。反対に、受け入れ先の企業にとっては「我が社にとって有益な人物かどうか、熱意はどうか、続けてくれるか」などの判断材料になるものです。双方にとってとても大事な文章、それが自己PRです。


書く前の事前準備で必要なこと・気をつけること

職務経歴書の自己PRを書く前に、まずは事前準備をしっかり行います。それに伴った必要なことが3点、それは「キャリアやスキル、実績の振り返り(棚卸し)をする」「応募企業のニーズを研究し、理解する」「面接で掘り下げられることを想定し、理解する」です。さらに気をつけるべきことが「例文の転用は面接官にバレるのでテンプレに頼らないで書く」です。では、それぞれの項目について具体的に見ていきましょう。


① キャリアやスキル、実績の振り返り(棚卸し)をする

職務経歴書の自己PRを書くと決めたら、まずはこれまでのキャリアやスキル、実績の振り返り、いわゆるキャリアの棚卸しから始めましょう。難しく考える必要はありません。これまでの仕事内容や実績などを、時系列で書き出していきます。頭の中を整理しながら書いていくうちに、自分が今まで行ってきた仕事や実績が客観的に見えてきます。仕事に対するスタンス、得意なことなど自分の「強み」が把握できたら今後の方向性が見えてくるでしょう。自分はなぜ転職したいのか、転職先でやりたいことは何かがハッキリ分かればしめたもの。実はこのキャリアの棚卸しは、これまでのキャリアの振り返りのみならず自己分析力をつけるためにもとても重要な作業です。ネットで検索すれば棚卸しシートが見つかるので、それを使っても構いません。


② 応募企業のニーズを研究し、理解する

企業の求人募集はどんなに優秀な人が応募してきても、会社のニーズに合わないと判断すれば採用を見送ります。転職活動において、応募企業のニーズを把握しないと時間の無駄になってしまうのです。逆をいうと、応募企業のニーズを研究し理解すればそれだけ採用への近道になります。企業のニーズを探る方法は、求人情報に記載されている仕事の内容を把握したうえで、企業が求める人物像について理解します。応募企業のホームページをしっかりチェックすれば、大抵見つかります。ニーズを研究し、ある程度企業のことが理解できたら、キャリアの棚卸しで判明したこれからやりたいことと接点があるかどうか分析します。接点がある企業に応募すれば、ミスマッチが防げます。このように、応募企業のニーズを研究し理解することは重要です。


③ 面接で掘り下げられることを想定して細かくPR内容を書き出す

採用側の企業が面接で一番知りたいこと、それは「志望動機」です。職務経歴書の自己PRで最も重要なポイントでもあります。この志望動機が明確で、人事担当者に納得してもらえれば採用への道もスムーズに進みます。ところで採用担当者は、この志望動機と転職理由をほぼ確実に掘り下げて質問をしてきます。なぜならこの志望動機と転職の理由で応募者の本気度が確認できるからです。そのため、少しでも疑問点があれば質問攻めに合うでしょう。転職の理由と志望動機に一貫性があれば、企業側も納得します。志望動機と転職理由は、自分でも納得できるまで細かくPR内容を書き出すなどして掘り下げておきましょう。面接で掘り下げられることを想定し、企業についても深く理解をしておくことも重要です。


④ 例文の転用は面接官にバレる。テンプレに頼らないで書く

自己PRの模範解答などは、今やネット上にあふれています。書籍もたくさん売られているので、例文はいくらでも書けるでしょう。とはいえ、人事担当者は面接のプロなので例文の転用は見抜かれます。模範解答というのは似たり寄ったりなので、面接官は覚えているものです。さらに例文の転用をすると、職務経歴書に書いた自己PRの文章と面接時の自分の言葉に食い違いが生じることも。テンプレはあくまでも参考程度にして、自分が納得いくまでしっかりと自分の言葉で書く必要があります。例文の転用は面接官にバレると心得て、テンプレに頼らないで書くようにしましょう。


実際に文章にしていく時に気を付けること

職務経歴書の自己PRを書く事前準備と必要なこと、注意することをご紹介しました。ここからはいよいよ本番です。実際に文章にしていく時に気をつけることをまとめました。具体的にいうと「アピールするポイントは絞る」「PREP法を使って簡潔に理論的に読みやすく書く」「面接後、選考後もPR内容が影響することを意識する」「採用側の企業にメリットとなるか、求める人材と離れていないか確認する」です。


① アピールするポイントは絞る

職務経歴書に自己PRを書く場合、アピールするポイントを絞ることが重要です。アピールポイントの文章が長いと、思いが伝わるどころか逆効果になることも。人事担当者は忙しいので、ダラダラ書いてある長文は読む気が失せてしまうからです。人事担当者に「この人を採用したい」と思わせないとアピールする意味がありません。よって自己PRは、簡潔かつ的確に伝わるようにポイントを絞って書きましょう。特に転職では、今までの仕事が転職先で生かせるかどうかも重要です。その上で自己PRアピールするポイントを3つに絞ります。それは、「今までどんな仕事をしてきたか」「新しい職場で自分は何ができるのか」「今後、会社に貢献できるか」です。


② PREP法を使って簡潔に理論的に読みやすく書く

ビジネス文書などで積極的に取り入れられているPREP(プレップ)法をご存知ですか。このPREP法は、文章の最初に結論を書く方法です。一番言いたいこと、伝えたいことを初めに書くことで文章が簡潔かつ理論的になる優れた手法です。結論を先に述べるということは、内容の要点が一目で分かるので読み手に伝わりやすくなります。伝わるということは、読みやすいということでもあります。結論を提示した後はその理由や事例、具体例を補足して書いていきます。最後に結論を繰り返すことで、印象に残る文章になるという訳です。このPREP法を職務経歴書の自己PRに使わない手はありません。それではこのPREP法を詳しく解説していきます。


▶▶▶PREP法とは?

PREP法の「PREP」は、「Point」「Reason」「Example」「Point」の頭文字からきています。これらの手法が自己PRを書く時に重宝します。具体的に説明しましょう。まずP=point、結論を書き、次にR=Reason、結論をアピールした理由を書く、続いて、E=Example、事例、具体例をあげて理由を補足し、実績を提示する。 最後に、P=point、結論を繰り返す、もう一度書いて印象に残す。これで完了です。では実例をあげて、より具体的に掘り下げていきます。


まずは、P=Point(結論)を書く

PREP法がなぜビジネスシーンにおいて、積極的に取り入れられているのか説明します。それは、多忙なビジネスマンが例えば上司に報告を上げる場合、簡潔に分かりやすく伝えないと時間が無駄になってしまうからです。初めに結論ありきの報告だと、上司もすぐに理解をして的確な指示が出せます。ビジネスシーンにおいては1分、1秒も無駄にできない場合もあるシビアな世界です。これを企業の人事担当者のケースに置き換えてみましょう。大量に応募してくる履歴書や職務経歴書の数々。その自己PRの項目でアピールするポイントが全く見えないと、書類選考の段階で落とされかねません。まずは、P=point、結論を書く、ここを押さえましょう。


次に、R=Reason(理由)結論をアピールした理由を書く

PREP法のR=Reason(理由)結論の理由を書く、実はここも重要です。最初の結論で惹きつけて読みたいと思わせることに成功しても、この理由が弱いと読み手は肩透かしをくらってしまいます。例えば自己PRでP=point(結論)で長所について記載したとします。

「私の長所は我慢強くて粘り強いことです」に対して「理由は姉弟が多い長女で粘着質な気質だからです」、こんな理由では意味がありません。例えば「前職ではその我慢強さと粘り強さを生かし、売り上げが落ち込んだ時でも常に売り上げ目標に近づけるべく努力しました」などと書くべきです。


続いて、E=Example(事例、具体例)理由を補足する実績を提示する

自己PRを作成する時にこのE=Example(事例、具体例)理由を補足する、実績を提示する文章に説得力がないと読み手ががっかりします。また虚偽報告は避け、事実を正確に伝えることが肝心です。先の長所の理由で書いた「前職ではその我慢強さと粘り強さを活かし、売り上げが落ち込んだ時でも常に売り上げ目標に近づけるべく努力しました」に対してのE=Example(事例、具体例)の例文として、「しばらく売り上げが落ち込んだ月が続いた時でも諦めず、新規顧客を獲得するために電話営業などをしつつ、既存顧客に商品の案内を続けたり接触する機会を多く持つなど努力した結果、目標数字に届いたばかりでなく、売り上げが前年同月比120%になり、その後ずっと目標数字を達成しました」などです。


最後に、P=Point(結論を繰り返す)もう一度書いて印象に残す

いよいよ例文の締めです。最後はP=point(結論を繰り返す)、もう一度書いて印象に残すです。最後の箇所なのでシンプルに書いて大丈夫です。むしろこれまで書いてきた文章を見直し食い違いがないか、PREP法を間違えて使っていないかをチェックします。自己PRの長所を例にあげての結論の例文は「よって、私の長所は我慢強くて粘り強いことです」と締めましょう。PREP法をマスターすれば、今後の仕事にも役立ちます。ぜひ身につけてください。


大切なのはどうすれば伝わるか、会いたいと思わせられるか

PREP法で職務経歴書の自己PRを書く方法をご紹介しました。ポイントを押さえ、技術的な手法を身につけることは大事です。ですが大切なのはどうすれば相手にきちんと伝わるのか、その結果会いたいと思わせられるかです。採用する企業側が「この人にぜひ会いたい」と思わせる自己PRとはどのようなものなのでしょう。それは、自己PRが採用担当者に響くことです。自己PRの中身に真実味があり、この人を採用すれば会社にとってプラスになると思わせればOK。そのためには、自己PRの文章は深いものでなければいけません。例えば長所を書くことで今までの仕事の実績がアピールできる、責任感が強いとアピールすれば、採用側はこの人になら任せられると受け止めてくれるかもしれません。このように自己PRは採用側の企業にとって役に立つ、意欲があり有益な人物だと感じてもらえることが重要です。


③ 面接後、選考後もPR内容が影響することを意識する

自己PRで絶対に書いてはいけないこと、それは嘘です。虚偽記載は犯罪になるので、明らかな嘘を書くことはあまりないでしょう。ところが、うっかり書いてしまうのが誇大表現です。できると思い込んでしまうこと、ありませんか。例えば転職先で免許が必要なため現在、自動車学校に通っているとします。まだ仮免許状態なものの、自己PRで趣味はドライブと書き、面接時もドライブについてアピールしたとします。そこで採用が決まりいざ、運転となった時に実はまだ仮免中と発覚すればトラブルになりますね。PR内容は面接後、採用後もその内容が影響します。そこを意識して、誇大表現は避けましょう。


④ 採用側の企業にメリットとなるか、求める人材と離れていないか確認する

転職先を探す時に、入れればどこでもいいと考えていませんか。今の仕事を早く辞めたい、よって入れればどこでもOK、そんな考えでいると痛い目に合うかもしれません。そもそもそんな考えでは、良い自己PR文は書けません。企業が採用したい人材は、会社にどれだけ貢献してくれるか、メリットがあるかです。求める人材もハッキリしています。そこの理解もなく、ただどこでもいいから転職したいと考えていると、なかなか採用に結び付きません。自分は採用される企業のメリットになるだけの人材なのか、企業が求めている人材と離れていないか考えて常に確認をする癖をつけましょう。


実際に清書する時に気をつけること

職務経歴書の自己PRを実際に清書する時、気をつけることがいくつかあります。職務経歴書自体、パソコンで作成するので最も多いのが誤字・脱字です。変換ミスには十分気をつけましょう。さらに、文字を詰め込みすぎないように書くことも大事です。企業の人事担当者は毎日、膨大な数の履歴書や職務経歴書をチェックしています。文字を詰め込みすぎていてさらに誤字・脱字が多い職務経歴書は、どんなに優秀な人物でも書類通過は難しいでしょう。反対に、空白が多いスカスカの職務経歴書もいけません。やる気が疑われてしまいます。他にも、意味の伝わらない専門用語は書かないようにしてください。では、気をつける点について、具体例な対処法をご紹介します。


① 誤字脱字をしない

職務経歴書を書く時に、最も注意が必要なのは「誤字脱字をしない」です。これは、どんなに気をつけていたとしても起こる時には起こってしまいます。大事なことは、職務経歴書を清書して仕上げたらチェックする方法を知ることです。もちろん、入力は慎重に確実にすることも大事です。チェックする方法はいくつかありますので、自分に合った方法を取り入れましょう。確実なのは書類ができ上がったら、第三者に見てもらうことです。家族や信頼のおける友人にチェックしてもらいます。それが難しい場合、誤字脱字をチェックしてくれるツールを利用しましょう。ワードで作成した場合、文章校正機能があります。また、無料の校正ツールもあります。ネットで検索して活用してみましょう。


② 文字を詰め込みすぎないように書く

熱意を伝えたいからと、小さい文字をびっしり詰め込んだ職務経歴書を提出することは避けてください。さらに枚数にも注意が必要です。A4サイズで2枚が適量です。転職が初めてなら、1枚でもいいでしょう。文字を詰め込みすぎてさらに3枚以上の職務経歴書が提出されたら、企業担当者は「この人は文章を簡潔にまとめるスキルがないのでは」と捉えられてしまいます。職務経歴書は、見た目も大事です。改行を適切に使い、見やすいレイアウトで、文字も読みやすい大きさで書きます。極端に小さい文字や逆に大きい文字で書くことは避けてください。


③ 空白を作らずに、ぴったり埋めるように書く

文字を詰め込みすぎるのはNGですが、逆に空白が多く文字がスカスカの職務経歴書も提出してはいけません。意欲を疑われてしまい、書類選考は通過しない可能性が高まってしまいます。一般的に職務経歴書は「職務経歴」「志望動機」「自己PR」の3部構成が適切です。A4用紙一ページあたりの文字数は40字×36行=1,440字から40字×40行=1,600字程度を確保してください。文字サイズは10~12pt、余白は上25㎜~30㎜を、左右下は20㎜~25㎜くらいが目安です。改行は500文字で2~3回を目途にしてください。以上を参考にして、ぴったりと埋めるように意識しながら職務経歴書を仕上げましょう。


④ 意味の伝わらない専門用語に気をつける(特に異業種の場合)

前職の業界で専門用語を使うことが多かった場合、職務経歴書に書かないように注意しましょう。業界の専門用語は、知らない人には意味が伝わらないことが多く混乱します。これが異業種の職場を受けるとなるとなおさらです。人事担当者に意味の伝わらない専門用語が書かれた職務経歴書が渡ってしまうと、「配慮が足りない人」というレッテルを押されてしまうかもしれません。どうしても書くことが必要な場合は、説明書きを添えてください。また、文章に敬体と口語がまじらないようにしてください。言葉の使い方も慎重に。稚拙な表現は控えてください。あまりにも言葉が稚拙だと、常識を疑われてしまいます。


⑤ 自己PRの内容は面接でも質問されるので、書いて終わりにしない

自己PRを一生懸命考えるあまり、アピールポイントが誇張した表現になっていませんか。気づかないでそのまま応募先に提出、書類選考を通過し面接時に質問をされて「そんなことを書いたんだ」とうろたえて結局面接は失敗。実はありがちなことです。こんなことにならないためにも、自己PRの内容は慎重に考えましょう。書いて終わり、という訳にはいきません。本人は嘘を書いたつもりはないものの結果的には誇大表現となり、最悪の場合採用後にトラブルになりかねません。せっかく採用してくれた企業に迷惑をかけてしまうので、自己PRは書いて終わりにせずできれば第三者にチェックしてもらえればベストです。さらに、書いた内容を覚えていることも重要です。


添削支援やアドバイスをしてくれる転職エージェントを利用するのも大事

職務経歴書を仕上げたものの、果たしてこれでよいのだろうかと疑問に思っていませんか。職務経歴書に詳しい人に見てもらい客観的な意見を聞きたい、できれば添削指導も受けたい、そんな人には「転職エージェント」の利用をおすすめします。転職エージェントとは、転職に必要な支援をサポートしてくれる人材紹介会社の別称で、いわば転職希望者の代理人といっても過言ではありません。もちろん職務経歴書の添削支援やアドバイスもしてくれます。


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職務経歴書の自己PRはぜひ転職エージェントに手伝ってもらいましょう

職務経歴書の自己PRは、文章の中でかなり重要です。企業の人事担当者は職務経歴書で判断をするので、ここに記載ミスがあったり虚偽記載が発覚すれば、転職が成功してもその後台無しになってしまいます。そんなリスクを減らすためにも、職務経歴書の自己PRはプロである転職エージェントに手伝ってもらいましょう。実はこれこそが、転職を成功させる一番の近道でもあります。

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